私は10年ほど前まで、幾ら信仰生活が長いとしても、音楽家は音楽的に成熟していなければ聖歌(讃美歌)を書くことは出来ない、又は、おいそれとやってはいけないことだと思っていた。クリスチャンの音楽家にとってそれは“聖域”に等しい、と考えていたのだ。

 私自身、自分がそれに見合う資質を持っているとは思えない。しかしどうしたことか、気がつけば既に聖歌を書いており、未熟者がやるべきではないとしていた聖域に、知らぬ間に足を踏み入れてしまっていたのだ。

 そうなることを待ち望んだことはなかった故、「貴方は聖歌作家なのだ」と多くの人から言われれば、最初の内は適当にはぐらかしていればよかった。だがある時、行動とその結果に対して自分の無責任さを痛感し、それでいっそのこと「そーです、私が聖歌作家デス。あっ、聖歌作家〜。」(志村けん風に)と開き直ってしまうことによって、明らかに未熟者ながら、ワールドワイドでは音楽家として確かなキャリアになるかもしれない“聖歌作家”という、やけに重たそうな看板を背負うことにした。もはやヤケッパチである。その時、私は「やけくそ聖歌作家」になったのである。・・・いえ、真面目に話をしてるんですよ。(^_^;)


2007年6月







 このサイトはそもそも、聖歌作家の一人として講演するために各地へ赴いた際に求められるのは“歌唱指導”(私はそれが大変苦手なのです)であり、曲の成り立ちをお話する時間がほとんどないことを鑑み、ここにありったけ書いて公開しておこうと考え、2007年に開設したものです。


 とはいっても“歌唱指導”は、やっぱりイヤですが。



 ご観覧前に一応、2006年発行の日本聖公会 聖歌集(写真左)をご用意して下さるとよろしいかと思います。掲載した文章には、聖歌集の譜面を参照しつつ読んで頂くと、より一層理解していただけるものと思います。しかし聖歌集をお持ちでなくても基本的には大丈夫ですし、譜面と首っ引きになるような難しい話ばかりではありません。


 資料としての充実を図るため、譜例も多く載せています。主日礼拝の奏楽担当の皆様には有益なものもあるかもしれません。音源のリンクも沢山ありますので、聞くだけでも楽しんで頂けると思います。


 尚、聖歌・詠唱についての文章は各々、「作曲プロセス」、「作品ヒストリー」、「演奏について」、「フレキシビリティー及びアレンジメントについて」等、出来る限り共通のお題目に則して書いています。作曲の過程なんて興味ないから読まない…ではモッタイナイ。折角ここにいらしたのですから、是非とも面白がってあちこち触ってみて下さい。


 画面左にサイドメニューを設け、様々なコンテンツを用意しました。じっくりと腰を落ち着けてご覧下されば幸いです。

宮崎 道

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