1999年、私が音楽面に於いて全面的に采配を振るった超教派賛美CD『UNITY!〜サイバースペースのクリスチャンたち』(UNIVERSAL MUSIC/税込 ¥2,415-)は、史上初のネット(サイバースペース)で産まれた賛美アルバムです(一般の音楽アルバムとしても極めて珍しい例だった)。様々なタイプの“賛美”が全17曲/72分も収めており、多彩な音色と相まって、強力な賛美CDとなっています。翌2000年にはアルバム収録全曲の楽譜集『UNITY! SCORES』(株式会社ヨベル/税込 ¥1,680-)も出版しました。


 CDや楽譜集についての詳しい事柄は、UNITY!公式サイトのあるCCMCホームページ(http://www.ccmc.jp)をご覧頂きたく思いますので、ここでは手短に触れておきます。アルバム『UNITY!』は、日本全国の様々な教派・教会で作られている賛美を人づてに収集、もしくは新たに作り、厳選してCD等のメディアにまとめて発表し、広く“分かち合う”ことを目的として製作されました。既に独自に新しい賛美の録音・製作・販売をしているプロダクションには関わりがなく、放っておけば教会の外には出ていかずに消えてしまうかもしれない・・・しかし宝石のような輝きを持つ賛美を発掘する。そのアルバム・プロデュースの主眼は、あらゆるタイプの賛美を詰めようということでした。すぐに聖歌になるものもあれば、賛美集会で弾き語りで歌うにふさわしいものもあれば、日本に於いて公に発表された最初期の演歌賛美にして名曲「十字架の愛」のようなカラオケ向きの賛美もございます。コンセプトは「わたしたちはみんなちがう、けれど主にあってひとつだ!」。収録した賛美もみんなちがう、けれど主にあってひとつ!です。

 


・「タリタ・クミ〈少女よ、起きなさい〉」

・「空の鳥よ野の花よ」

・「きよきあさに」

 

 上記の3曲が取り上げられ、この度、日本聖公会の正式な聖歌となりました。アルバム収録した「古今聖歌集増補版'95・第19番:こころのとびらをひらくと(うしマ〜ク!版)も合わせると、聖歌集に載った聖歌がこのCD1枚に4曲も収録されている勘定になります。


 この事実は新しい「日本聖公会聖歌集」が、如何に教派・教義の違いにとらわれず、世界中から多様な聖歌・讃美歌・賛美集を収集、吟味し、選定してきたかという証の1つと言えるでしょう。その過程で超教派の賛美CD『UNITY!』(及び楽譜集『UNITY! SCORES』)ですら目に留めるほどに、聖歌集改訂委員会の間口は広かったのです。


 聖公会の一信徒に過ぎない私としては、CD『UNITY!』が実用に耐える讃美を多数収録していることをコンサートや地道な宣伝活動で強調してまいりましたが、「日本聖公会聖歌集」が取り上げて下さったことで、その証明に向けて一歩前進させて頂けたと感じております。まことに感謝です。

 

 第529番「おまえはわたしの」

 原題は「タリタ・クミ〈少女よ、起きなさい〉」。アルバムで紹介してから最初に、広く歌われた讃美です。


 楽譜集『UNITY! SCORES』発表後、真っ先にカトリック・聖イグナチオ教会の“フォーク・ミサ”で用いられ、礼拝に参加した会衆の多くが頬に涙したと言われます。その後、作者への承諾を得て“タリタ・クム”と歌詞を一部書き改め、2001年に発行された『古今聖歌集改訂試用版』に第2095番として掲載され、日本聖公会に正式に紹介されました。


 聖歌集では『UNITY! SCORES』掲載楽譜を元にした3拍子の譜面になっており、かなりアップテンポに演奏します。2小節=1セグメントとして考えて、6/8拍子のフィーリングで捉えると良いでしょう。(左の「UNITY!をご存知ですか?〜CD Album Trailer」で 5'38" から聞けます)


 楽譜集『UNITY! SCORES』では、CD収録のアレンジに限りなく近い形のピアノ伴奏譜を掲載しています。又、500枚限定生産の楽譜集付録CD『Unify! - Cyberspace Christians' KARAOKE』(写真左)には、オリジナル・カラオケが収録されています。

 

 第541番「そらのとりよ野のはなよ」

 原題も同じ。第186番「きよきあさに」の原作詞者である“PANKUZU”こと喜多京司さんの作詞・作曲作品。アルバム『UNITY!』の中でも特に人気の高い1作で、マタイによる福音書・第6章26節を素直に歌にしています。純朴な美しさには心が洗われます。又、驚くほどコーラスしやすい事でも知られ、一度でもやってみれば、その美しい響きに歌いながら酔いしれてしまうこと必至。伴奏なしのアカペラで歌っても依然、抜群の魅力を発揮します。


 元々は喜多さんの混声四部合唱の、賛美グループ“Psalm(サーム)”のオリジナル曲として、賛美ライヴ用に作られた賛美です。オリジナルはクラシックギターのアルペジオ伴奏に混声四部合唱が乗っています。(「UNITY!をご存知ですか?〜CD Album Trailer」で、2'05"より)


 楽譜集『UNITY! SCORES』では伴奏がピアノ譜(2段譜)に変更されており、全4段譜でしたが、聖歌集では伴奏譜をへ音記号1段の表記にまとめた全3段譜になっています。多分、大きな譜面と見やすいレイアウトを踏まえての苦肉の策だとは思いますが、これがムチャクチャ読みにくい。ですから是非、『UNITY! SCORES』をお買い求め下さい。見やすい表記で3ページにまとめられていますので、縮小コピーして見開きに貼り合わせればGoodです。


 この小さな、しかし素晴らしい賛美が日本聖公会の聖歌となったのは、『UNITY!』の製作チームにとって非常に喜ばしいニュースでした。明かに大変な名曲であり、PsalmもElpisも精力的に各地で演奏してきたにも関わらず、意外なほど真剣に取り上げられること(演奏曲目に挙げたり賛美集に入れたり)がなかったからです。ですから、聖公会では『UNITY!』は愛されているのかもしれないな、と(親バカ状態ですが)感じたものです。

 

 第374番「こころのとびらをひらくと」

 私の作曲です。まだこの聖歌が「古今聖歌集増補版'95・第19番」だった時代にアルバム収録しました。UNITY!プロダクション・ノーツ(製作ノート)やその他の解説では触れていなかった事ですが、既に公に発表されていたこの聖歌を『UNITY!』に収録するということは、実はアルバム製作コンセプトである「未だ広く発表されていない素晴らしい賛美を発掘、教派を越えて(教会に)広め、又、宣教ツールとして活用可能な音楽アルバムにする」には、少々そぐわないものでした。ですから私はこれを収録することに、当初は消極的でした。


 実は1995年末、この歌詞をネットで読んだ製作チーム・メイトの、通称“P&Jのぴーさん”が「イエス様がメロディーを与えて下さった」と、「こころのとびらをひらくと(P&J版)」と呼ばれた新曲を作曲、これを私とミネストローネ(私の妻)が録音してデモテープにしたところ、ネットを通じて人気を博し、アルバムに収録してほしいという声が俄に高まりました。そこでアルバム製作チームとしては検討の末、アルバム・プロデューサー自身の作曲であり最新の聖公会認定聖歌であるオリジナルも並べて収録しなければ、筋が通らず恰好も付かないと判断、両方をキチンとアルバムに収める事となったのであります。(左の「UNITY!をご存知ですか?〜CD Album Trailer」で 4'53" から聞けます)


 この聖歌についての詳細は本サイトの『聖歌第374番:「こころのとびらをひらくと」』の項目をご覧下さい。

 

 第186番「きよきあさに」

 作詞は“PANKUZU”こと喜多京司さん、作曲は私で、CD『UNITY!』のために書き下ろしたものです。1999年のアルバム発表直後から譜面が欲しいという声が聞かれ、実際に聖歌形式で作成した譜面を数多くコピーした賛美でした。2001年発行の「古今聖歌集改訂試用版」が出るまでの間、この賛美を新しいイースターの聖歌にしてくださいというご意見・ご希望も多く聞きましたが、歌詞が文語調で、用語の使用方が現在の聖公会にはフィットしていないという理由で見送られてきました。聖歌集改訂の最終段階にさしかかって改めて注目され、この賛美を正式に聖歌にするべく聖歌集改訂委員会が大胆な歌詞改訂を行い、最終的に掲載と相成りました。(左の「UNITY!をご存知ですか?〜CD Album Trailer」で 11'05" から聞けます)


 この聖歌についての詳細は本サイトの『聖歌第186番:「きよきあさに」』の項目をご覧下さい。

又、CD『UNITY!』についてはCCMCホームページご覧下さい(左のバナーをクリックして下さい)。

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