“いつか聞いたことがあったかもしれない新しい聖歌”

 「大栄光の歌」を提出した後、改訂委員会からまた連絡が入りました。「アニュスデイも書かない?」という話だったのですが、こんな会話をしました。(注:一部脚色あり)


聖歌改訂委員(以下、委):
 「貴方は随分前に“神の小羊を書いている”と話してませんでしたか?」
宮崎 道(以下、道):
 「あぁ、もう9年も前・・・1997年頃でしたね。ネットでそう話しました。」
委: 「その曲の譜面は完成しましたか?あれば是非、見せて頂きたい。」
道: 「いえ、最初の数小節のみで作るのを辞めましたので、未完成です。」
委: 「おや、それはまたどうして?」
道: 「結果としてアングリカン・チャントのパロディーにしかなってないので。」
委: 「納得できなかった、だから破棄した?」
道: 「パソコンの譜面ソフトで書いていたので今も残ってますよ。見てみます?」
委: 「遠慮します。」
道: 「折角ですから、そう言わないで見て下さい、笑えますよ。お聞かせしましょうか?」
委: 「いえ、お手数でしょうから結構です。」
道: 「途中でバタっと終わってしまう曲を聞くのは、それはそれは気分悪いですよ。」
委: 「勘弁して下さい。」
道: 「一度失敗している神の小羊をもう一度作曲するのは、正直、あまり気が乗りません。」
委: 「“歌うミサ用チャント”の真骨頂は、アニュス・デイにあります。ここまで来たら、貴方は是非、神の小羊唱を作るべきですっ!」
道: 「そうですねぇ〜・・・」
委: 「この件は…、申し訳ないのですが貴方が喜んで作曲したとしても、出来上がったものが必ず聖歌集に掲載されるとは限りません。しかし譜面は残ります。ニケヤ信教以外のミサ曲は一通り揃った“みっくんチャント”(道君のチャント)が出来ます。どうせなら“みっくんチャント”を整えるべく、神の小羊を書いてはどうでしょうか?」
道: 「では、こういうことにしましょう。音楽がまた降ってきたなら、それをキャッチして書いてお送りします。降ってこなかったら、諦めて頂くというのでよいですか?」
委: 「判りました。そうしましょう。」



 こうして「神の小羊」の作曲が(私にとって2度目の)スタートしました。ちなみに1997年の未完成「神の小羊」はこんな譜面です。本邦初公開! 恥ずかしくないのかって?そんなこたぁ〜ありません。この曲は明らかにボツです。作曲時にあれこれ考えちゃって、迷っているのが判ります。譜割りがまずアングリカン・チャントの呪縛(?!)から抜け出せていないどころか、まるっきり同じじゃぁ〜仕様がない。このポンコツを力ずくで完成させることも出来ますが、そういうことをせずに早々にボツにした1997年の自分がエラい!と思います?! チャントの悪い見本として、敢えて公開しておきます。




 その後、私は2日ほど仕事に勤しんでおりましたが、「神の小羊」は一向に降ってくる気配がない。その替わり、随分前に作ってほったらかしになっている未発表曲「いつかどこかで聞いたことがあったかもしれない新しい聖歌」(譜例下)が頭の中に響いておりまして、大変困りました。何しろこの曲、CD『UNITY!〜サイバースペースのクリスチャンたち』の製作中、CD用の曲として作ったもので、自分としては大変気に入っていたのですが結局、適当な歌詞がつかなかったのでお蔵入りしていたのです。それがいつになっても鳴り止まないので、デタラメに世の罪を除く〜と歌ったら、意外にもハマる。ピッタシ!という感じではなかったのですが、歌い上げチャントとしては結構イケてんじゃん、と思いましたので、「いつかどこかで聞いたことが・・・」を短時間で改作し、「神の小羊」として委員会に提出しました。気がつけば、聖歌集に取り上げられてました。(譜面だけをご覧になりたい方はこちらをクリック)


いつかどこかで聞いたかもしれない新しい聖歌

 

 演奏について

 この曲に関しては、テキストと旋律の譜割りに、まだ若干の検討の余地があったと感じています。どうもシックリこないなぁ〜とお思いでしたら、まず音譜に対してテキストを当て直してみることをお薦めします。「完成した譜面の通り歌わなければならない」という規則のようなものは、私の書いたチャントにはありません。自由にシックリくるように歌って下さい。旋律を変えても、勿論結構です。私の書いたものより、もっと素晴らしくなるのであれば、是非!


 私の作曲当初のテンポ設定は、Tempo=110ぐらいでした。しかし、テンポをAndante(Tempo=90)ぐらいのゆったり目に取るならば、オルガンは深くジェントリーなストップを選ぶと効果絶大です。反対にTempo=110ならば、派手目のストップを入れて大きく鳴らしていくとカッコいいですよ。日本語の“あわれみ”の意味が違って聞こえてくるでしょう。尚、リード・オルガンならばテンポはどちらにしても、音は大きく鳴らすのが良いと思います。

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